資産が増えるほど、100万の喜びは薄れていく――それでもいいと思う理由

投資・資産形成

貯金や投資の残高が、50万、100万と増えていくと、素直に嬉しいですよね。
キリのいい数字を越えたときは、ちょっとテンションが上がります。

でも最近、ふと思ったんです。
この「100万増えて嬉しい」という感覚は、資産がまだ小さい今だから感じられるものなんじゃないか、と。

今日は、「資産が育つほど、100万の喜びは薄れていく」という話を書きます。
そしてそれは、悲しいことじゃないと思っています。

同じ100万なのに、嬉しさが違う

考えてみれば当たり前なんですが、同じ100万円でも、いまの資産がいくらかで、嬉しさの大きさが全然違います。

資産が100万のときに100万増えたら、資産は一気に2倍。
これは衝撃的に嬉しい。

でも、仮に資産が3,000万ある人が100万増えても、1.03倍。
同じ100万なのに、ちょっとした誤差にしか感じないと思います。

人間の感覚って、金額の絶対量じゃなくて、「今どれだけあるか」に対する比率で動くんですよね。
明るさも、音の大きさも、同じだと言われます。
暗い部屋のロウソク1本はまぶしく感じるけど、明るい部屋ではその1本に気づかない。それと同じです。

実は、「積立の価値」も同じ構造で薄れていく

これ、感情だけの話じゃないんです。
資産形成そのものも、同じ「薄れていく」構造を持っています。

資産が小さいうちは、毎月の積立(自分の努力)が、資産を動かす主役です。
たとえば毎月数万円を積んでいれば、その分だけ確実に残高が上がっていく。
動いた分だけ、数字に返ってくる感覚があります。

でも資産が育ってくると、主役が入れ替わります。
運用の増減が、毎月の積立額を超えてくる。
ある段階からは、たった1日の値動きが、その月の積立額を超えるようになるとも言われます。

そうなると、自分が積んだ数万円は、全体の中で「誤差」に見えてくる。
100万の喜びが薄れていくのと、まったく同じことが、数字の世界でも起きているんです。

資産形成は、途中でルールが逆転する

この話、段階で見るとわかりやすいと思います。
資産形成には、ざっくり3つのフェーズがあると感じています。

第1段階は、現金を貯める時期。
生活防衛資金を作って、土台を固めるフェーズです。

第2段階は、入金力で投資を育てる時期。
毎月コツコツ積む金額が、そのまま資産の伸びになるフェーズ。

第3段階は、複利が主役になる時期。
雪だるま式に資産が資産を生んで、運用が積立を上回るフェーズです。

面白いのは、この3段階で「正しい行動」が逆転することです。

序盤は、能動的に動くほど報われる。
積み立てる、無駄を削る、仕組みを作る。動けば動くほど数字が伸びる。

でも終盤は、何もしないほど報われる。
売らない、持ち続ける、ただ忍耐する。それが一番の正解になる。

動いたほうが勝つゲームから、動かないほうが勝つゲームへ。
途中でルールが入れ替わるんだな、と思います。

喜びの「質」が変わっていく

だから、資産が育つと、嬉しさの中身も変わっていくんだと思います。

今の資産増加は、ほとんどが自分の入金です。
「今月も積めた」という、努力の達成感がそのまま数字になっています。

でもいずれ、資産が増える主な理由は「市場が動いたから」になっていく。
自分が動かしている感覚から、複利を眺める感覚へ。同じ「資産が増えた」でも、中身が全然違う。

今の「自分で動かしている」という手応えは、複利フェーズに入ると、だんだん薄れていくのかもしれません。

喜びが薄れるのは、悪いことじゃない

ここまで書くと「じゃあ、資産が増えると嬉しくなくなるのか」と寂しく感じるかもしれません。
でも、そうじゃないと思っています。

100万で喜べなくなるというのは、言い換えれば「100万では動じない土台ができた」ということです。

資産が小さいうちは、100万の増減に一喜一憂します。
それは裏を返せば「100万動いたら不安になる」ということでもある。

喜びが薄れるのは、不安が薄れることでもあります。
100万で動じなくなったなら、それは経済的な土台ができた証拠だと思います。
全然、悪い話じゃないんですよね。

今の喜びは、人生で一度きりのものかもしれない

そう考えると、ひとつだけもったいないことがあります。

資産が小さい今だからこそ、100万増えたときに「お、やった」と素直に喜べる。
この感覚は、資産が大きくなったあとでは、二度と戻ってこないと思うんです。

だから、薄れていくのを残念がるより、今しか味わえない特権として楽しんだほうがいい、と思っています。
数字が小さくて、自分の努力がそのまま成果に見える。このシンプルな嬉しさは、今だけのものです。
そして、これは資産が育てば自然に薄れていく感覚です。
でもそれは、努力から複利へ、不安から安心へと、フェーズが進んだ証なんだと思います。
だからせめて、今のうちにちゃんと味わっておきたい。
100万でテンションが上がるうちが、資産形成の一番初めの、そして一度きりのご褒美なんだろうなと思います。

→ 関連記事:ライフプランに昇給はいくらで見込む?我が家の「支出は厚め・収入は薄め」ルール

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