親が年を重ねてくると、介護や医療、いざという時のお金が、なんとなく不安になってきます。
我が家でも親世代の備えについて考える機会があり、最初に感じたのは「いくらかかるのか、まったく見えない」という不安でした。
青天井でお金が出ていくんじゃないか、家計が破綻するんじゃないか。
そういう漠然とした怖さの正体は、たぶん「金額が見えないこと」そのものだったと思います。
だから、制度や相場を一つずつ調べてみました。
すると、思っていたよりずっと、行政の制度は手厚かったんです。
今日は、親世代のお金の不安を「見える金額」に変えてみた話を書きます。
医療費には「上限を決める制度」がある
まず医療費から調べました。
継続的な治療が必要になっても、際限なくお金が出ていくわけではありませんでした。
高額療養費制度というものがあって、1か月の医療費の自己負担には、所得に応じた上限が決められています。
上限を超えた分は、あとから払い戻される仕組みです。
つまり「医療費が青天井で家計が破綻する」という事態は、制度のうえではほぼ起きないようになっている。
長く治療が続く場合でも、自治体によっては自己負担をさらに軽くする助成があることもあります。
ここを知っているかどうかで、不安の重さがずいぶん変わると感じました。
介護費用も、制度で軽くなる
介護も同じでした。
公的な介護保険を使えば、自己負担は原則1割(所得の高い人で2〜3割)。
かかった費用の全額を負担するわけではありません。
さらに高額介護サービス費という制度があって、1か月の介護費の自己負担にも上限が設けられています。
医療と介護の負担が同じ年に重なったときは、高額医療・高額介護合算という、1年分を合算して上限を超えた分が戻る仕組みもありました。
施設に入る場合は費用の幅が大きいですが、所得に応じた負担軽減の仕組みがあります。
在宅なら、訪問介護やデイサービスを組み合わせて負担を抑えることもできます。
「介護は青天井」というイメージほど、無防備な世界ではなかった、というのが調べた実感です。
葬儀の費用は、形式で大きく変わる
意外と知らなかったのが、葬儀のお金です。
同じ葬儀でも、形式によって金額がかなり変わります。
火葬だけを行う直葬なら、おおむね20万円前後(20〜50万円ほどの幅)。
通夜を省く一日葬で、30〜60万円ほど。
通夜と告別式を行う家族葬は幅が広く、70〜100万円ほど。飲食や返礼を含めると100万円近くになることもあります。
参列者を広く招く一般葬になると、100〜200万円が相場でした。
正直、「家族だけだから安いだろう」と思っていた家族葬が、100万円近くかかることもあると知って驚きました。
あわせて、国民健康保険や後期高齢者医療に入っていれば、葬祭費として数万円(自治体によって異なり、おおむね5万円前後)が、申請すれば支給されます。
会社の健康保険なら、埋葬料として同じくらいが出ます。
こうした給付は申請しないともらえないので、知っておくだけで損をしにくくなります。
お墓は「継ぐ前提」をやめる選択肢もある
お墓についても、考え方は一つではありませんでした。
お墓を継ぐと、その後の管理費や維持の手間が、次の世代に残り続けます。
でも、永代供養や合祀という形にすれば、誰かが管理し続けなくてもよくなる。
親が元気なうちに、墓じまいをして永代供養に移しておくという選択肢もあります。
費用は方法によって大きく変わりますが、「継ぐのが当たり前」という前提を一度外してみると、選べる道は意外とありました。
親世代が自分で動けるうちに整理しておくのが、結局はお互いにとって楽なのかもしれない、と感じています。
「見えない不安」を「見える金額」に変える
ここまで調べてみて、いちばんの収穫は、金額そのものより「輪郭が見えたこと」でした。
漠然と「お金がかかりそう」と不安がっている状態が、実はいちばんしんどい。
でも、制度と相場を調べると、「最悪でもこれくらい」という上限の輪郭が見えてきます。
輪郭が見えれば、過剰に怖がらずに、現実的に備える額を決められる。
不安を減らす一番の対処法は、やみくもに貯めることでも保険を増やすことでもなく、「調べて見える化すること」だったんだなと思いました。
これは、生活防衛資金を金額でなく月数で見たときと同じ感覚です。
見えないものを見える形に置き直すと、家計はずいぶん落ち着きます。
まとめ
親世代のお金は、調べてみると、制度が想像よりずっと手厚いものでした。
医療費にも介護費にも自己負担の上限があり、葬儀は形式しだいで大きく変わり、お墓は継がない選択肢もある。
「見えない不安」を「見える金額」に落とすと、冷静に備えられるようになります。
わからないまま怖がり続けるより、一つずつ調べて輪郭を掴むほうが、ずっと気持ちが楽でした。
なお、ここに書いた制度の金額や条件は、自治体や時期によって変わります。
実際に備えるときは、お住まいの自治体や窓口で、最新の内容を確認してみてください。
見えない出費を見える化する考え方は、生活防衛資金は「金額」より「月数」で見るにも書いています。



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